オストメイトで笑って生きる



社会復帰 私の退院直後 退院半年後 装具について 工夫と対応 余談
 

  退院半年後

思わぬ傷のおかげで5か月が過ぎ、やっと自分なりのリズムで生活ができるようになると、日常の行動も健常だった頃のリズムに戻すようにしてましたが、 オストメイトになったという事実は、これはなくしようがない。
生活自体は健常だった頃のリズムに戻りつつあっても、3日でパウチは交換しなければならず、その都度にストマの様子を観察し、パウチ貼付部の体毛を剃り、キレイに洗浄しなければならない。そうして乾燥させ、 新しいパウチを貼り付ける、この時間が今までの生活に加わった。
常に時間的に余裕を持っておかなければいけないし、準備と貼り替えの工程も、自分なりのパターンを作らなければいけない。
私の場合は、居間で新しいパウチの内径をサイズ通りにハサミで切り、粘土を太めに切ってそこに貼りつけるまで行い、そこから新しいパウチやカットしたキッチンペーパー等を持ち風呂場に移動して、排水口のゴミ取り網やらをすべて外して、 シャワーを流しながら、液体リムーバーを使って古いパウチを外してる。
使ったパウチを入れるのにちょうど良いサイズの不透明なビニール袋を大量に買ってあり、それを3枚、入れやすいように口を開いて用意しておき、その1枚目に古いパウチは放り込みます。 ストマを空気やお湯に当てながら全身を洗い、そのままキレイな浴槽に入っても良いし、温まっていればストマ周辺の体毛を丁寧に剃ってゆきます。
それからまたパウチ貼付部周辺の古い粘着カスを取り除きながら固形石鹸で洗い、シャワーを全身に浴びてストマ以外の個所の水気を拭き取ってゆきます。その後、あらかじめカットしてあるキッチンペーパーでストマ周辺の水気を吸い取り、 そのゴミも1枚目のビニール袋に捨て、それを二度ほど繰り返して乾燥させ、姿勢を正して新しいパウチを貼り付けます。しばし手で圧着させながら片づけをし、使い古しのパウチなどが入ったビニール袋を3重にして密封し、 完了です。使い古しのパウチが入ったビニール袋は燃えるゴミに出します。
パウチ貼付部の上にある耳は、激しく動くと下着に当たって剥がれたりしますから切り取っておきます。
このパターンが半年を過ぎた頃には身について、簡素化してゆき、早いときは15分くらいで終わるようになります。
ただ、元気になってくると体型も変わり、行動範囲はどんどん元通りになってきますから、今度は身体に合ってないパウチが剥がれたり漏れたりを繰り返すようになる。ストマのサイズも変わりパウチに開ける穴も変わる。
そこでいま使ってるパウチに日常・行動を合わせるのではなくて、自分の日常・行動に合うパウチを徹底的に探す、そのためにメーカーから新しいサンプルをもらっては試用することが大事です。
私は毎週のように山に登り泳いでました。それに合うパウチを探し、装具購入の代理店からは早くパウチを固定してくれと急かされてましたが、事情を話して1年くらいは決めませんでした。
酷い傷が治った退院から5か月過ぎの頃は、1000m弱の里山を歩いていても小学生の団体に追い越され、ベテラン山馬鹿は惨めなもんでしたが、3m歩いては休み、10m歩いては座り込み、頂上直下の急登では、 肺が悲鳴をあげて足腰ガタガタ、なんども茂みや岩場にへたりこんで、哀れなもんだった。
ザックは、早く普通になりたい一心で、元気な頃とおなじ20キロくらいある重いのを担いでいた。そんな厳しい山登りをした翌日には温水プールで歩き泳ぎ、仕事の合間を縫っては鍛え続けていた。色んなアクシデントは起きていましたが、 退院半年を過ぎた頃、やっと2000mの頂上に立った時の感動は今もはっきり覚えています。
アカヤシオが咲いていた、はるか向こうに富士山が見え、こみ上げるものがあった。
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